初めてw-inds.の曲を知ったのは5thシングル「Because of you」だった。当時は最新Jpopをリスナーからのリクエストでランク付けする地元のラジオ番組を毎週ヘビーに聞いていて、「Because of you」もそのランキングに登場したことで知った。当時小学校6年生だった私。同じクラスの子が猛烈な緒方龍一ファンだったのを思い出す。
その後、「SUPER LOVER」や「キレイだ」、「変わりゆく空」など名曲が次々にリリースされる。
変わりゆく空(MUSIC VIDEO Full ver.) / w-inds.
w-inds.の記憶が「変わりゆく空」で止まったままだった私。橘慶太があややこと松浦亜弥と結婚したことはニュースで見ていたが、情報といえばそのくらいなもんで積極的に曲を聴くほどでもなかった。チャート上位や話題曲をなぞるくらいで、あとはジャニーズ沼にズブズブ沈んでいった10代の終わり~20代前半だった。
だが、今回紹介する12thアルバム「INVISIBLE」に収録されている「We Don’t Need To Talk Anymore」が話題になり、どうにかして聴かないと…と思いながらズルズルとひと月経とうとしているところに救世主現わる。Amazon Prime Musicでアルバム全曲聴けちゃうんですね。本当にありがたい。
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前置きが長くなったがレビューをしていこう。
概要
前作「Blue Blood」から約2年ぶりとなるw-inds.12作目のオリジナル・フル・アルバム『INVISIBLE』3/15(水)発売!
世界的なトレンドをいち早く自らの楽曲に昇華するw-inds.が最先端のダンス・ミュージックを凝縮!シングル「Boom Word Up」「Backstage」そして橘慶太セルフプロデュース「We Don’t Need To Talk Anymore」の3作品の他、メンバーそれぞれが全作詞を手掛けたw-inds.史上初のソロ楽曲を含む全13曲を収録。
未来を見据えさらなる歩みを続ける姿を表現している新ビジュアルと同様、ダンス・ミュージックを軸に、様々なジャンルをいち早く自らの楽曲に昇華するw-inds.ならではの、新たなスタートを切る作品です。
総評
ジャンルで言ったらEDMなのだけど、ゴリゴリのEDMではないのでダンスミュージックに抵抗がある人でも聴きやすいアルバムである。ゴリゴリバキバキEDMのavexサウンドと対の方向にあるEDMという感じ。ポニキャでもこういう路線行けるのかと新鮮だった。
シングル曲とアルバム曲が並んだ時に違和感がなく、路線として全体の筋が通っているのは、さすがデビュー17年の歴を感じる貫禄である。
とにもかくにも橘慶太の圧倒的歌唱力を以ってねじ伏せられっぱなし。高音を一曲の間ずっと安定して出し続けるのが全曲続くの恐ろしくない??10代の頃のハイトーンボイスが声変わりを経てもなお(多少キーは下がっていても)美しく響いているのは、生まれ持った天性の才能としか説明がつかない。歌声がもはやトラックに溶け込む楽器の一つとなっている。
ローティーンにハイトーンを売りにしていても変声期を経ると声に伸びが出なくなってしまうことのほうが多い中*1、あんなにガタイが良いのに高音を惜しみもなく出せるのは日本の宝だと思う。急にスケールが大きい話になったが、それくらいもっと表立って評価されてもいいのにと思うのである。
加えて、緒方龍一も千葉涼平もダンス要員かと思いきやべらぼうに歌が上手いから驚くよね…。
Boom Word Up
作詞:HOMEY
作曲:Sam Gray・Joe Lawrence
Boom Word Up(MUSIC VIDEO Full ver.) / w-inds.
36thシングル。一度聴いたら忘れられないキャッチーなサビが印象的。アルバムの1曲目としてリスナーの心をがっちり掴んで離さない。このアルバムのリード曲は間違いなく#4「We Don’t Need To Talk Anymore」なのだが、1曲目には間口広く聴く者を引き込む勢いがなければならないのである。
Come Back to Bed
作詞:Mayu Wakisaka
作曲:Martin Luke Brown・Lewis Gardiner・Joel Adams
音数の少ないEDMソング。出だしが超洋楽。ジャスティン・ビーバーっぽいって思ったのは私が「Sorry」を聴きすぎている所為である。タイトルから分かるようにセクシーで切ない歌詞の世界が展開される。
Complicated
作詞:HOMEY
作曲:Eric Palmqwist・Erik Nyholm
これもジャスティン・ビーバーっぽさがある。語彙がジャスティン・ビーバーしかないみたいになっていて申し訳ないホントに…。このアルバムだけかもしれないかもしれないけど、全体的にどの曲も歌詞がストレートな気がする。割と文字通りに受け取りやすいというか、裏読みするほどの複雑さを感じさせない。この曲のタイトルは「Complicated」(複雑な)だけど…。
We Don’t Need To Talk Anymore
作詞・作曲:Keita Tachibana
We Don’t Need To Talk Anymore(MUSIC VIDEO Full ver.+15s SPOT) / w-inds.
アルバムリード曲。AメロとBメロ~サビの信じられないような高低差をここまで自在に歌うことができるのは、日本で橘慶太しかいないのではないか。橘慶太による橘慶太のための曲と言っても過言ではない。
ここまでクオリティの高い曲を自作できるのも、彼自身が類稀なる歌唱力の持ち主でありハイレベルな歌を歌うことを求められ応えてきた積み重ねの上にあるものだろう。
CAMOUFLAGE
作詞:Shoko Fujibayashi
作曲:David Veslocki・Erin Whitney Bowman
最初から最後までキーが高い化け物のような曲。ほとんどファルセットで歌っている。メロディと歌詞の合わせ方が絶妙で、特にサビの「Baby don’t camouflage」は音の合わせも歌い方も最高。
Backstage
作詞:AKIRA
作曲:Andreas Oberg・Drew Ryan Scott・Martin Kleveland
Backstage(MUSIC VIDEO Full ver.) / w-inds.
37thシングル。夏リリースの曲らしい爽やかなメロディラインとそれを邪魔しないラップ。海辺をドライブしながら聴きたい一曲。シングルになるとコーラスワークが入ったり単純に音色が増えて他のアルバム曲に比べて華がある。
落ち着いたベースラインと寄り添うような低音のピアノのトラックは、普段ポップスしか聴かない層にも好まれるサウンドだろう。
Separate Way(橘慶太ソロ)
作詞:Keita Tachibana
作曲:Jake Torrey・Grant Van Reyn・Alden Witt
ギターのみで進行していくAメロから徐々に音色が増えていくが、大盛り上がりするポイントもなく静かに最後まで進んでいく。Jpop脳だと1番が静かなら2サビはガッと曲のピークに持っていきたいところなので、「えっ、もう終わり?」という肩透かし感で消化不良である。悪くはないけど…。
ORIGINAL LOVE(緒方龍一ソロ)
作詞:Ryuichi Ogata
作曲:Cage & Oneye
橘慶太がとんでもないので気づかなかったが、この人もかなり歌える。冒頭ラップから入るのだが、クセの強いタイプのラップ回しではないので初心者でも抵抗感なく聴けるのがありがたい。*2
In your warmth(千葉涼平ソロ)
作詞:Ryohei Chiba
作曲:Matt Wong
橘慶太がとんでもないので気づかなかったが(2回目)、この人もかなり歌える。前2人とは打って変わってこちらはメロディアスで甘い声で歌い上げる。言わずも名がキーが高い。
wind wind blow
作詞:AKIRA
作曲:Ninos Hanna・Adam Kulling・Patrizia Helander・Jimmy Jansson
曲調と歌詞の「漂う」「彷徨う」というフレーズがぴったりハマっている。雨音が入っているのも歌詞とシンクロしていて楽曲の完成度が高い。たまに出てくるユニゾンの歌声も強めになるベース音も心地良い。
TABOO
作詞:Keita Tachibana
作曲:Andreas Oberg・Carlos Okabe・Drew Ryan Scott
ハープが漂うように鳴り響くのがクセになる曲。タイトルの割には歌詞は「友達の一線を越えたい」くらいのTABOOなのでちょっと期待はずれだった。TABOOというからにはもっと刺激の強いフレーズが並んでると思ってたからさ…某曲とか某曲のようなさ…。*3
Players
作詞:HOMEY
作曲:Keita Tachibana・Joe
ラップのAメロ、メロディのBメロ、そしてサビはトラックのみという意欲作。曲自体は2分51秒という短さだが、橘慶太は作詞より作曲にセンスが光ることを思い知らされる曲である。
2番Aメロのラップがめっちゃ玉森裕太みがあるのでジャニオタの皆さんも軽率に聴いてみてほしい。
We Don’t Need To Talk Anymore(DMD Remix)
作詞・作曲:Keita Tachibana
#4と同じ曲だがこちらのほうがThe・EDMに仕上がっている。ここまで12曲聴いて物足りなさを感じたら、このDMD Remixを聴いて空腹を満たしてほしい。