YUKIを聴くのはいつぶりだろう。記憶が正しければ「Joy」が高校生の時に流行っていてよく聴いていたような気がする。いや、大学の時だったかもしれない。そんな記憶が曖昧なくらい久しぶりにYUKIを聴く。
2017年3月15日にリリースされたアルバム「まばたき」。オリコン週間ランキングで1位になっていたのを見て軽率に聴いてみた。
今年ソロデビュー15周年を迎えるYUKIが、前作『FLY』以来、約2年半ぶりのオリジナル・アルバム『まばたき』をリリース。今作には最新シングル「さよならバイスタンダー」(TVアニメ『3月のライオン』第2クールオープニングテーマ)、「ポストに声を投げ入れて」(映画「ポケモン・ザ・ムービーXY&Z『ボルケニオンと機巧のマギアナ』」主題歌)、「tonight」(映画『グラスホッパー』主題歌)を含む全13曲が収録されている。YUKI 8th Album Special Site
総評
私は普段、ジャンルなんてないようなジャニーズソングを聴くことが多い。そのため、ここまでサウンドに統一感のあるアルバムを聞くことが逆に新鮮だった。ピアノやストリングス、管楽器(サックスやフルート)を取り入れたサウンドは、ポップスを通ってきた人なら嫌いな人はいないのではないだろうか。
声にエグみがないので、アップテンポでもスローでも声が理由で聴くのをやめようとならないのがいい。同じような曲調でも歌い方が違ったり、1曲の中でも抑揚を調整しているのでずっと聴いてても飽きないのはさすがといったところか。
どの曲も聴く人間を選ばないと思うので、ソロデビュー15周年に乗っかって聴いてみるのはいかがだろうか。
暴れたがっている
作詞:YUKI、作曲:蔦谷好位置、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
一通り全曲聴いてもアルバムの1曲目はこれだな、と納得するリード曲。走り出したくなるようなアップテンポが心地よい。「暴れたがっている」という歌詞なのに全然暴力的にならないのがいい。
さよならバイスタンダー
作詞:YUKI、作曲:飛内将大、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
31stシングル。TVアニメ「3月のライオン」第2クール オープニングテーマ
Aメロ歌い出しの歌声が別人のよう。童唄の「はないちもんめ」の歌詞が入っている遊び心もかわいらしい。
こんにちはニューワールド
作詞:YUKI、作曲:yumeiroecho、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
R&Bテイストのリズムとトラックが続くイントロ・Aメロ・Bメロから、サビに入ると一気に情景が広がるメロディラインが展開する。1番Aメロとアウトロに入るラップが印象的。
無敵
作詞:YUKI、作曲:三橋隆幸、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
YUKIがずっと若い女の子に支持され続けるのは、こういう歌詞を現在も書けるからだろう。大学生の時にリアルタイムで聞いたらあまりのエモさに死んでしまいそう。
名も無い小さい花
作詞:YUKI、作曲:KOMODA、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
サウンドは特に何も感じなかったが、具体的なようで考えさせる余白を残している歌詞が秀逸。
レディ・エレクトリック
作詞:YUKI、作曲:KOHJIRO、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
イントロのチェロ・Bメロの8ビート・サビの控えめなシンセサイザー。タイトルからもっとゴリゴリの曲調を想像していたが、これはこれでかわいいから嫌いになれない。
私は誰だ
作詞:YUKI、作曲:HALIFANIE、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
『「生きてたい」より「生きたい」』という歌詞だけでわたし的ハイスコアを叩き出した。
tonight
作詞:YUKI、作曲:AlbatoLuce、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
29thシングル。映画「グラスホッパー」主題歌
ジャズテイストを取り入れたピアノや間奏のサックスが小洒落たラブバラード。ストリングスではなくオルガン的なサウンドを裏に使っているのがポップさを感じられる。
ポストに声を投げ入れて
作詞:YUKI、作曲:横山裕章、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
30thシングル。映画『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』主題歌
メロディは、アニメ主題歌ということもあるのか平板に進行していく。歌詞もYUKI節を残しつつ、子どもが聴いても比較的わかりやすいワードが並んでいる。
バスガール
作詞:YUKI、作曲:伊藤立、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
バスガイド(この曲ではバスガール)が主人公のジャジーな一曲。「ETCでハモられても大歓迎」の歌詞の意味がわからないのだけど、ETCってハモる要素あったっけ…?
2人だけの世界
作詞:YUKI、作曲:大西省吾、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
YUKIの特徴的な高音の強いアタックではなく、歌詞の世界観に沿ってソフトな歌い方をしているのが印象的。
聞き間違い
作詞:YUKI、作曲:中野領太、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
恋をしてる人にも聴いてほしいし、個人的にはアイドルを応援している人にも聴いてほしい。
『「素直で明るいだけで人には価値がある」 誰でもいい もう少し早く教えてよ』のフレーズが各方面に刺さって死人が出そう。
トワイライト
作詞:YUKI、作曲:Jess & Kenji (give me wallets) 、編曲: YUKI・玉井健二・百田留衣
「カセットテープ伸びるまで」なんて、10代の子たちには想像できないのかもしれない。けれど、この文脈がわかるとより情景が広がるし、わからなくてもサウンドの圧でYUKIを好きになってしまうだろう。
おわりに
女性ボーカリストって、年令を重ねていくごとに若いときのキーで歌うと歌いづらそうするのが見ててつらかったりする。しかしYUKIはそうではない。
永遠に20代なのでは?と思わせる歌声と容姿なのが新鮮に感動した。何を食べて何をすればあのようなかわいらしさを保てるのだろうか。不思議でならない。
総評にも書いたが、ソロデビュー15周年に乗じて私のように軽いノリで聴いても絶対ガッカリしないので、是非手にとって聴いてみてほしい。