2015年にジャニオタ界隈で流行った、歌詞のテキストマイニング。KAT-TUNファンの方のこちらの記事(彼らは「今」をうたう ‐KAT-TUN楽曲の歌詞を抽出・分析してみました‐ – リチア電器)を発端に、色々なグループにおいて楽曲の歌詞分析記事が公開された。
キスマイの楽曲でも分析を行ったブログがあったのだが、私が当時見た記事は削除されていて閲覧ができなくなっている。もうこうなったら自分でやるしかない!と意を決して今回歌詞の抽出・分析をやってみた。
対象楽曲と歌詞の抽出方法
今回、歌詞を抽出するのは、2018年1月7日時点で音源化されているKis-My-Ft2の楽曲・デビュー前の楽曲・ソロ曲・ユニット曲(ドリボ含む)・舞祭組名義の音源化されている楽曲で、歌詞サイト「歌ネット」に掲載のある曲を対象とする。
但し「ETERNAL MIND」「Re:」「LUCKY SEVEN」等は、「歌ネット」に未掲載のため今回の対象に入っていない。「Hair」は手入力したが、対象漏れになってる曲が他にもある気がするのでその辺はご容赦いただきたい…。個人が趣味でやってることなので、結果はあくまでも参考程度に受け取ってもらえればと思う。
そういうわけで計181曲で集計を行った。
歌詞の抽出にあたり下記のウェブサイトとツールを使用した。
歌詞の表記:歌詞検索サービス 歌ネット
テキスト化ツール:Lyrics Master
抽出ツール:KH Coder
また、英単語は原形で集計をしている。
他グループとの比較として参考にしたブログを列記しておく。(順不同)
歌詞抽出の結果と分析
頻出語TOP150
結果は以下の通りになった。
上位30ワードぐらいまではどのグループでも同じような結果になるので、色を付けたところについて突っ込んでいきたいと思う。
時系列について―「過去」
まずは青色で塗りつぶしたワード。こちらは時系列にまつわる単語である。
【 今 > 未来 > 明日 > 今日 >> いつか >>>> 過去 】となっており、未来志向かつ現実重視といったところか。この傾向は他のグループとも概ね同じである。
ただ、頻出150語の中に「過去」が入ってくるのは特筆すべき事項だろう。どんな文脈で「過去」というワードが使われているのか、KWICコンコーダンスで見てみよう。
これを見ると、「過去」が「未来」や「明日」という単語と共に使われるパターンが多いのがわかる。前向きな意志を強調するためにあえて「過去」を使って対比させているのだろう。
コンコーダンスを見ていてちょっと驚いたのが、ソロ曲の比率の高さだ。北山「FORM」「優しい雨」、千賀「BOMB」、玉森「Crazy My Dream」、藤ヶ谷「xLunaSx」。玉森以外は全て本人作詞である。過去に未練を感じさせる藤北、過去を未来に変える千賀、過去も未来もないこの瞬間だけの玉森…。「過去」というワード一つで個々のパーソナリティをも表しているかのようだ。
頻出語に見るキスマイの特性
次は黄色で塗りつぶしている単語を見ていこう。キスマイの頻出語150の中で特徴的なワードをピックアップしたものである。
「キス」「触れる」
「キス」がここまで上位にあるのはさすがグループ名に「キス」が入るだけあるなあという感じだが、後から紹介する英語表記の「KISS」も含めると、キスマイがジャニーズで一番キスにまつわる歌(およびフレーズ)を歌っているのは間違いないだろう。
その「キス」に関連して「触れる」もTOP150に入っている。この言葉がフレーズに入ると一瞬ドキッとするような場面の動きをイメージさせる。一本調子の歌詞展開を変化させるのに使い勝手が良さそうな気もするが、リアリティを感じさせすぎるためか意外にも他のグループでは頻出語ではないようだ。
楽曲を見ると「触れる」対象が「肌」「髪」「肩」「笑顔」「心」などあるが、「Tonight」においては触れる対象が明確にされていないのが気になった。じゃあ何に「触れていたいと強く願う」のか考えながら歌詞を読んでいると、なんだかイケナイほうに想像が働いてしまったので自主規制します…。もっとピュアなハートに生まれたかった……。(煩悩の塊)
「掴む」「負ける」
次に「掴む」について。このワードが上位50位以内に入るのはいかにもキスマイらしいなと思う。じゃあ何を掴んでいるのか?コンコーダンスで見てみよう。
野心メラメラなワードが並ぶのかと思っていたのだが、意外にもバラけている印象だ。表にまとめてみたのがこちら。
野心 |
頂点 |
Yes I Scream、like a Mt.Fuji、棚からぼたもち |
夢 |
Another Future、Dream On |
|
全て |
Take Over |
|
connection |
アイノビート |
|
フィジカル |
手 |
On Your Mark、Crystal Sky |
腕 |
if |
|
肩 |
S.O.KISS |
|
your body |
BOMB |
|
メンタル |
心 |
Shake It Up |
Love |
Sing for you |
|
意味 |
My Resistance |
|
時間 |
未来 |
Take Over、DREAM STAGE |
New days |
今はまだ遠く果てしない夢も |
|
一瞬 |
感じるままに輝いて |
|
その他 |
何か |
タビダチノウタ |
パラダイス |
We never give up! |
|
? |
光のシグナル |
初期・中期・直近にかかわらず、どの時期の曲にも「掴む」が入っている。ある程度キャリアを積んでくると落ち着いてきそうなものだが、キスマイにはギラギラと上を目指し、彼らが欲しいものをその手で掴み取っていってもらいたいなと思う。
「負ける」というワードも頻出語に入っているのだが、こちらはほぼ全てが「負けない」とか「負けられない」いう意味で使われている。相変わらずキスマイは何かと戦ってるなw ただ、一曲だけ「君には負けるね」と歌っている曲がある。「スナックSHOW和」の「男と女のシネマ」である。
誰にも言わないわ (その唇) あなた以外は (嘘をついてる)
誰にも言わせない (君には負けるね) 独り占めよ
よってこの勝負、宮ママの一人勝ちということで、スナックSHOW和の夜にカンパ~~イ!(?)
「最高」「踊る」
続いて「最高」について。これ実は「PSYCHO」の連呼する部分で全体の3分の1を占めているのだが、その他に関してもテンションや熱が高かったりする歌詞が多い。「最高だ」という気持ちを色んな言葉に置き換えて歌うのが一般的なやり方であるが、それを差し置いても気持ちが高ぶっていて表す言葉が「最高」しかないのだとしたら、それはそれでめちゃくちゃ最高である。
「今回のMVは今までで一番踊ってる」と毎回言いがちなキスマイだが、EDMをメインジャンルとしているグループらしく「踊る」という単語も頻出語に入った。字面の通りクラブでガンガン踊っているようなものもあれば、比喩として「踊る」をフレーズに組み込んでいる曲もあってなかなか興味深い。
液晶ディスプレイ 踊るBAD NEWS(Overture~Music Colosseum~)
菜箸が踊る(ワッター弁当)
雲踊る青空(FUTURE TRAIN)
「旅」
「FUTURE TRAIN」が出てきて、そう言えばと思ったのが「旅」というワード。「Kis-My-Journey」というアルバムを発表したり、JR九州のキャンペーンに起用されたりということもあって「地図」(出現回数14回のため頻出語ランク外)と共に使われることが多いようだ。
「変わる」「変える」
これも特徴的だなと思ったのが、「変わる」と共に「変える」が入っている点だ。「変わる」は割とどのグループでも頻出語に入っているのだが、「変える」という能動的な表現が食い込んでいるのは特筆すべきだろう。「掴む」「負ける」に共通して、ひたすら前に進み上に上がっていくキスマイのグループ性が「変える」という単語から垣間見えるような気がしてならない。
私は、変わるのを待っているだけではなく、自ら変えていこうという主体性のあるキスマイの生き様に惹かれているところがあって。それが歌詞として楽曲にも反映されているというのを改めて知ることになり、猛烈に胸が熱くなっている。ああ…これだからキスマイは沼。
品詞別
英単語TOP100
続いて品詞別に頻出語を見ていこう。まずは未知語として分類された英単語。
青で塗ったのは時系列に関連する「NOW」「NIGHT」「TONIGHT」。この辺は概ね予想通りである。日本語の頻出語でもそうだが、今を歌い、夜を歌うのはジャニーズ楽曲の定石。特にキスマイは夜というか深夜な雰囲気がよく似合う。
黄色で塗りつぶした「KISS」「COME」「DANCE」「SING」はキスマイらしさを感じたワード。「KISS」って歌詞としての汎用性が高いから、グループ名に「キス」が入ってるってやっぱり強みでしかない。キスひとつで、かわいいにもカッコいいにもセクシーにも振れるからもはやキスマイへの期待値が青天井である。
そしてキスマイ本人たち(およびavex)も言及している、キスマイ「Come on」歌いすぎ問題。こちらが頻出語にも現れている。「COME」単体で集計しているが、その98%は「Come on」として使われていた。「カモン」という音の語感の良さと、「来いよ」的なオラオラ感も相まって1リリースに1回は必ず出て来る勢いではなかろうか。「Come on」が出て来る曲でMix作りたいな…w
「DANCE」と「SING」に関しては、頻出語TOP150「踊る」の項でも触れたが、踊って歌うことが歌詞に組み込まれることによって、より「アイドル・Kis-My-Ft2」のアイデンティティを強調しているようだ。歳をとってオジサンになっても、いつまでもバリバリ歌って踊るキスマイでいてほしいなと思う。
オレンジで塗ったのは、おっかない楽曲が多い印象のキスマイを感じさせる火力が強いワード。「BURN」や「BANG」は連呼しやすいため、出てきた曲ではかなりの頻度で使用されている。
「FIRE」は、やはりJr時代の代表曲である「FIRE BEAT」がグループの楽曲性にも少なからず影響を及ぼしているようだ。藤ヶ谷・北山の「Fire!!!」、舞祭組の「Fire&Lightning」などキスマイ本体ではないところでも、勝負曲のテーマとして「FIRE」というキーワードを持ってきているのは注目すべき点だろう。
各品詞のTOP10
続いて、品詞別のTOP10を見てみよう。KH Coderではかなり細かい品詞の分類がされるのだが、その中でも下記の8つの品詞をピックアップした。
動詞「行く」
頻出語の上位はだいたいどのグループでも同じような結果になるが、動詞はそれぞれ違った傾向にあるようだ。キスマイ楽曲においては、動詞の「行く」が2位以下に差をつけて1位になっている。
「行く」が1位になっているのは、他のグループの抽出結果を見て回ったところTOKIOがそうだったが、それでも2位とは出現回数が10回くらいしか違っていなかった。したがって「行く」がこれだけ使われているのはキスマイの特徴であると言えるだろう。
その中でも「行こう」という表現で使われているパターンが多かった。一人ではなく、誰かとともにアクションを起こすのが、なんともアクティブでキスマイらしさが感じられて良い。
形容詞「強い」「熱い」
形容詞の1位2位が「強い」と「熱い」で並んでいるのも、うわ~キスマイだ~~と思わざるをえない。単純に平均温度が高い曲が多いというのもあるが、やはりその根源となっているのはキスマイ自身のそのアツさだろう。
何事にも全力で挑み、時には失敗したりしながらも爪痕を残すその仕事っぷりは、まさに強くて熱いという表現がピッタリである。そしてキスマイのファンも、そういう強くて熱いバイタリティを持ち合わせてる傾向あるよね。
形容動詞「好き」「大好き」
形容動詞の上位を見てくれ!なんてハッピーな単語が並んでいるんだ!歌詞というのはいかに「好き」を他の言葉で表現するか、というところに作詞家の力量が発揮されるのだが、こんなにストレートに言われるとその素直さにノックダウンしそうである。
ただこれにはトラップがあって、「好き」の半分以上は「恋愛心経」からだし、「大好き」はタイトル通り「ダイスキデス」が半数を占めているので、それを頭に入れた上で結果を解釈する必要があるというのは付け加えておきたい。
共起ネットワーク
単語同士のつながりを表した共起ネットワーク図がこちら。
つながりが謎なのが「最高」と「抱く」のライン。そんな直接的な歌詞あったっけ?と思って調べたら、「Kis-My-Me-Mine」に「さあ行こうぜ 最高なこの瞬間を胸に抱いて」というフレーズが3回出てくる。ここに引っかかったんだな…。
あと「顔」と「伸ばす」も謎のつながり。こちらもどこから拾ってきたのか突き止めてみた。どうやら「Crystal Sky」の「今 Crystal Sky 手を伸ばして 今 Crystal Sky 顔上げて」と、「負けないで」の「顔を上げ 空に高く 腕を伸ばせ」から来たものらしい。変な所つなげるんじゃないよもう!w
どのつながりをどう掘っても新たな面白さがある共起ネットワーク。「涙」と「笑顔」や、「過去」と「未来」が対になる単語同士でつながっているのも興味深いところだ。
おわりに
歌詞を抽出・分析したことによって、単語単位で見えてくるキスマイのキスマイらしさを改めて認識することとなった。これは私の私見によるものであるため、抽出結果の分析はその人が抱くキスマイの印象や曲に対するスタンスなどによっても違ってくるだろう。
一人で考えを煮詰めるのも充分楽しいのだが、これはいろんな人の意見が聞きたいところだ。ぜひご意見・ご感想・異議申し立てなどを寄せていただければと思う。Twitterでも、質問箱でも絶賛募集中!是非ともよろしくお願いします。
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