2018年4月25日に7thアルバム「Yummy!!」と同時にリリースされた、スペシャルシングル「You & Me」。
7人グループであるキスマイが、7周年にセブンネットで77,777枚のCD+DVD完全限定生産盤を発売するということで話題になった。
リリース時になんだかんだで書きそびれていたので、今さらながらレビューを書いておく。
総評
PCに取り込んだまま聴けてなかったHOMEとZEROをチェック。
HOMEは完成形の提示ではなくこれからメンバーやファンの思いを乗せながら育っていく曲なんだろうなあ。そもそも曲の雰囲気や歌詞がとても良い
ZEROは藤北玉が軽やかに歌うポップス。メイキングは玉森さんが無双#キスマイ #youandme #KisMyFt2— みやま (@miyamachronicle) May 3, 2018
タイトルに込められた想い
まずこの「You & Me」というタイトル。avexのスタッフブログに、このタイトルに込められた思いが綴られている。
何故にスペシャルシングルのタイトルを「You&Me」にしたかというと、、、
「ZERO」と「HOME」は、両曲とも「You & Me」という想いが込められた楽曲だからです。
「ZERO」は、You(横尾・宮田・二階堂・千賀)& Me(北山・藤ヶ谷・玉森)
「HOME」は、You(ファンの皆さん)& Me(Kis-My-Ft2)
どちらも2つが合わさってこそ「Kis-My-Ft2」は輝きを放てるという想いが込められています。
18.03.20「You&Me」 BLOG | Kis-My-Ft2 Official Website
2018年はキスマイから「7」へのこだわりを強く感じたが、同時にファンとキスマイの関係性、メンバー同士の関係性へのアプローチも端々から伝わってくる一年であった。
その幕開けとして2018年一発目に作品として形になり提示されたのが、アルバム「Yummy!!」であり、このシングル「You & Me」だったのである。
Mr. Star Lightとのつながり
「Yummy!!」と「You & Me」が独立した作品ではなく、相互に作用しあっているのが汲み取れるのが、「Yummy!!」に収録されている「Mr. Star Light」だ。
アルバムリリース時にセブンネットショッピングのCMソングに起用されていたこの曲は、メンバーのイニシャルやこれまで発表した楽曲のタイトル、そして“Seven”というワードが歌詞に織り込まれており、さらにYou & Meのコンセプトにつながるフレーズも入っている。
繋いだ手はずっと解かない みんなひとつになる
同じ時代を今生きてる この奇跡を祝おう
輝き放つオレら 止められないよStar Light
Kis-My-Ft2 Mr.Star Light 歌詞 – 歌ネット
先に紹介したスタッフブログでも“輝きを放てる”という表現が使われているが、おそらくこの部分からの引用だろう。粋だなあ。
HOME
作詞・作曲:竹内雄彦
編曲:千葉純治 / 竹内雄彦
「東京インテリア」CMソング
言葉を大切にメロディに乗せて歌い上げるボーカルワークと、印象的なピアノのリフレイン、それをドラマチックに仕立てるリズム。
切なくもあり、同時に明るい希望を感じさせる、Bメジャーを主調としたミディアムテンポのロックバラードである。
曲の頭から終わりまで鳴り続けるピアノは、あたかもファンや周囲の人達がキスマイに寄り添っているかのようだ。
歌詞
avexスタッフブログによると、アルバム「Yummy!!」とスペシャルシングル「You & Me」の中で一番最初に形になったのがこの「HOME」であり、ツアーでドームに帰ってきたメンバーとファンを想像しながら作った曲であると明かされている。*1
2014年以降毎年ドームツアーを行ってきたキスマイは、2017年は4年ぶりにアリーナツアーを、2018年1~2月は舞祭組がホールツアーを敢行。
そこからまたドームに帰ってきたという期待感と、ライブ、とりわけドームライブがキスマイの「HOME」であるという強い意志表示も感じられる。
この曲の前提が、キスマイとファンの関係を描くことであるため、タイトルのパッと見の印象を越えたスケールの大きさが魅力的だ。
・You always take me “HOME”(意訳:君はいつも僕を“HOME”に連れて行ってくれる)
・I’ll hope to take you “HOME”(意訳:僕が君を“HOME”に連れていけるといいな)
・約束の場所で君に触れたい
・明日には別々の場所に戻っていく
君が僕を連れて行くのも、僕が君を連れていきたいのも、ドームのような大きいライブ会場を指していると取れる。
北山を筆頭にメンバーが口々に「新国立競技場でライブをやりたい」とメディアで発言していることからも、連れて行く場所が“約束の場所”であると解釈するのは難しくはない。
また、非日常の空間であるライブ会場に集った各々が終演後に日常生活へと戻っていくことを“「現在の続き」ならそれで構わない”と、非日常も日常もどちらも肯定しているところになんともキスマイらしさを感じる。
ファンにとってキスマイのライブがHOMEになってくれたら、そしてメンバーにとってもKis-My-Ft2というグループが自分の帰ってくる場所=HOMEであるという想いが形になった曲なのだ。
今後音源だったりライブ映像だったり、はたまたライブで再び披露される時だったり、この曲に初めて触れるタイミング次第で、人によって曲から得る意味合いが変わってくるのではないだろうか。
それくらいじっくりと温めていきたいと思わせる曲である。
サウンド・歌割
イントロのピアノのリフで耳を惹きつけ、その流れで入る哀愁を帯びた北山のAメロ前半、続いてインしてくるギターと共に華やかさをまとった藤ヶ谷のAメロ後半。ここまでの45秒で聴く者の心をガッチリつかんでいる。
Bメロからベースが加わって、藤北玉が「ただいま」、横宮二千が「おかえり」、そして藤北玉が「その声が聞きたかった」と続いていくのが実に美しい。
サビの最高到達点は「何処にいったって」の「何処」の部分にかかってくる。ここの音はhiBとなっていてかなり高い。Bメロの「おかえり」の「り」も同様にhiBまで上がる。
初回限定盤にはレコーディングMOVIEが収録されており*2この「何処にいったって」部分(もしくは同メロ)を歌っている様子が収められているのが、横尾・二階堂・千賀・北山。
横尾・千賀・北山は「何処(場所)」(hiB・hiA#)を裏声、「に」(F#)を地声に切り替えて歌っていて、二階堂は映像を見る限りだと「場所に」まで裏声、そのあとに地声に切り替えているように見える。
千賀は地声への着地点である「に」を強めに発声していて、北山は「に」をミックスボイスっぽく処理している。同じメロディを歌っていても人によって違いが出るのが面白い。
個人的には藤ヶ谷がこの「に」の音をどう扱うか興味があるのだが、映像には入ってなかったね…残念。
2番はAメロ前半を横尾・千賀、後半を宮田・二階堂が歌う。1番に比べて等身大の彼らを感じさせる歌詞になっていて、それを横宮二千で歌い分けるのが実にグッとくる。
歌番組でもライブでも披露されることのないパートだが、曲の真髄はここにあると言ってもいい。
2サビのあとすぐのDメロ。ピアノとストリングスが奏でる裏メロと、玉森メインで歌う主メロの取り合わせの美しさたるや…!
前半は北山・玉森で力強く、後半は藤ヶ谷・玉森で力強さに加えて儚さを帯びたユニゾンで歌う。ここはとにかく裏メロがいいんだよ…しゅき……。
落ちサビの北山の「迎えにいこう」の「こう」の扱い方がとても情緒的だし、藤ヶ谷の「響き合う声と涙が落ち合うように」の歌詞と声のマッチングが100%超え。
落ちサビを藤北が担当するのはキスマイ楽曲の定番であるが、「HOME」のような明確なメッセージを持った曲でバチコーンとハマると、その間違いなさを改めて実感させられるというものだ。
2番サビの終わりのフレーズを短くして着地させたり、ラスサビでベース・コードを上下させて同じメロディを繰り返したりする巧みな構成。
楽曲の物語性をサウンド面でアプローチするこの手法は、曲を途中で飽きさせずにフルコーラスで聴きたくなる効果を持たせている。
特に目新しいわけではないが、最近のJ-POP界隈でよく見かける手法である。
な、な、なんと!2月6日リリースのキスマイのシングル「君を大好きだ」でも、Bメロやサビ終わりが1番と2番で異なる進行とメロディになっている。*3
▼Kis-My-Ft2 / 「君を大好きだ」MUSIC VIDEO -short edition-
100万枚売れてほしい。
ZERO (北山宏光 & 藤ヶ谷太輔 & 玉森裕太)
作詞:月丘りあ子
作曲:Kento Takeda / Christofer Erixon / SHIKATA
編曲:Kento Takeda
Additional Arrangement:鈴木雅也
日本テレビ深夜ドラマ「〇〇な人の末路」主題歌
作詞はアニソンや超特急を手がける月岡りあ子氏。
作曲はKis-My-Ft2「Gravity」・ジャニーズWEST「YSSB」を共作のKento Takeda・Christofer Erixonの両氏と、キスマイでは「Halley」「70億分の2」他、ダンスミュージックをメインにLDH系やK-POPアーティストなど幅広く曲提供をしているSHIKATA氏が参加。
横尾・宮田・二階堂・千賀が4人で主演するドラマを、北山・藤ヶ谷・玉森が歌う主題歌で盛り上げるというユニークな試みがなされた曲である。
思い描いた未来とさまざまな末路が交差する人生。
一歩踏み出すことに勇気を持てたらと思う人たちへ―
Kis-My-Ft2の北山宏光・藤ヶ谷太輔・玉森裕太の3人が歌う「ZERO」は、そんな〇〇(ゼロ)からのスタートへエールを送るナンバー。
誰もが最高の輝きを放てるように!という願いが込められた楽曲です。
ドラマで輝く4人と、主題歌で輝く3人。相互作用で全員が輝きを放つKis-My-Ft2、端的に言って強すぎる。
華やかなブラスとシンセに4つ打ちのリズムが軽やかに鳴るポップなAメジャーのサウンドに乗せて、これまた軽やかに背中を押す藤北玉のユニゾンが耳に気持ちよく入ってくる。
間奏の押し付けがましくなく鳴るギターソロもさわやかで良い。
サウンド・歌詞・歌唱に関して求められるラインをちゃんとクリアしてきれいにまとまっている。それゆえに他に取り立てて書くようなことがない…。
一つ付け加えるとしたら、背伸びしてるわけでもなく達観しているわけでもない、地に足の着いた軽やかさをちゃんと出せているのが素晴らしい。
今このタイミングだから歌える歌があるというのはこういうことなんだと思う。
藤北玉の3人バージョンが原曲のパッケージではあるけど、7人バージョンになってから楽曲として一皮むけた感があるので、ぜひ比較して聴いてみてほしい。
おわりに
7周年イヤーを駆け抜けたキスマイ。
「Yummy!!」「You & Mee」「LOVE」「君、僕。」の作品群から、キスマイであること・この7人であることへの強い意志表示と、ファンへ向けた溢れんばかりの愛を受け取った。
8年目のキスマイが放つ次の一手に、期待が高まるばかりだ。
▼「You & Me」通常盤(画像をクリックでセブンネットショッピングへ)
▼Special Edit CDにZEROの7人ver.を収録
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*1:18.04.24 「Yummy!!」「You & Me」いよいよ発売!BLOG | Kis-My-Ft2 Official Website
*2:Youtubeにはアップされていないが、エイベのキスマイ公式にレコーディングMOVIEのダイジェストが掲載されている。直リンクも出ないのでここから自力で掘ってくれ→ MOVIE | Kis-My-Ft2 Official Website
*3:制作陣は、作詞:藤井フミヤ / 作曲:ヨシダタクミ / 編曲:亀田誠治。豪華。