2017年3月22日、NEWSのNEWアルバム「NEVERLAND」がリリースされた。リリースが発表された当初から、作り込まれたアルバムの世界観が話題になっていた本作。5曲のインストゥルメンタルが楽曲間に挟まれ、「作詞」ではなく「脚本」という手法が取られていることも注目されていた。
炎のような熱さ、水のような安らかさ、希望の光と高揚の踊り、そして不思議さと絶対的な愛。
そんなすべてが揃う夢のサウンドと、圧巻のエンターテイメントがここにある。。
“鍵” さえ持っていれば、誰にでも扉は開かれています。
NEWSと一緒に扉をあけましょう。
そこは色々なことが起こる場所。
ようこそ、ネバーランドへ。
総評
ここまで綿密に世界観を作り込んで、曲も適材適所の並び順と作風を揃えられているのも、NEWSメンバーと作家陣・スタッフがかなり力を込めて制作したことを伺わせる。
アルバム曲とシングル曲の世界観を維持しながら、ポップスもEDMもバラードもロックも全曲共存しているのも、作家陣があまりバラけていないのが一因であろう。
「さくらガール」「チャンカパーナ」「フルスイング」でNEWS御用達作家のヒロイズム氏が7曲(小山ソロ含む)に参加。作詞で4曲参加のHacchin’ Maya氏。曲間のインスト+ナレーションの脚本とNEWS曲1曲に髙橋拓氏。その他も豪華作家陣揃いである。
アルバムにてファンタジックでミステリアスな世界観を作り上げ、コンサートツアーでもうひと展開させるのだろう。曲間のインストのナレーションにおいても、NEWSのファンを強く意識した文言が並んでいる。これはファンにはたまらないだろう。
ただ、音楽作品としてNEWSのファン以外の人間が聴いた時に、置いてけぼり感を食らうのは否めない。「続きはツアーで!」と言われましても…ツアー行けませんし…みたいな気持ちになるので、「NEVERLANDツアー」ライブDVDの発売を以ってNEWSと各関係者には責任を取っていただきたい。(?)*1
個人的には、アルバムはアルバムで完結して、ツアーでは既存曲と織り交ぜたセットリストの中でパフォーマンスを以って昇華させてほしい派。なので、アルバムとツアーの陸続きの件に関しては信じる宗派の違いとして心の整理をするしかないということだ…。
NEVERLAND収録曲に関して、この順番と同じセットリストじゃないと成立しないのでは?というくらい完成された曲順なので、既存のNEWS曲がどのようにこの世界観に割っていくのか面白くなりそうである。アルバムとライブDVDのセットで作品を楽しみたい、そんなアルバムである。
まだアルバム「NEVERLAND」を聴いていない方には、まずトラック順に01から聴くことを強くおすすめする。2巡3巡してもなお、計算された曲順に新鮮に感動する。というか、シャッフルでインスト+ナレーションが流れてきても意味不明ですしね…。
では、各曲のレビューをしていこう。
“The Entrance”
脚本:髙橋拓、作曲:中西亮輔
案内人のMr. ImpossibleによるNEVERLANDの世界への案内がナレーションによってなされる。
NEVERLAND
作詞:ヒロイズム、Hacchin’ Maya
作曲:中西亮輔、ヒロイズム、編曲:中西亮輔、黒田賢一
”The Entrance”でNEVERLANDの世界に誘われるわけだが、その上げられまくった期待を裏切らない壮大なリード曲になっている。まるでテーマパークにやってきたようなワクワク感とおどろおどろしさ。このリード曲の時点でコンセプトアルバムとしての成功を確信させられる。
アン・ドゥ・トロワ
作詞・作曲・編曲:ヒロイズム
NEWS御用達作家であるヒロイズム氏の、ヒロイズム節ともいえるエモーショナルな旋律が今回のアルバムでも炸裂している。NEVERLANDに入場し、シンデレラ城的なところで一緒に踊っているような、そんな曲である。
EMMA
作詞:Hacchin’ Maya、ヒロイズム、作曲:ヒロイズム
編曲:CHOKKAKU
21thシングル。シングル曲というと、他のアルバム曲に挟まれると浮いてしまうことが往々にしてあるものである。しかしEMMA自体も相当強烈な曲であるため、その強烈さが逆にNEVERLANDの世界観とマッチしている。
“7 Elements”
脚本・作曲:髙橋拓
NEVERLANDを構成する要素(炎・水・光・陽・音・魔・愛)についてナレーションで説明。これを説明するだけでトラック1曲割いているという贅沢。
Brightest
作詞:LISA、作曲:☆Taku Takahashi(m-flo)、LISA
編曲:☆Taku Takahashi、Mitsunori Ikeda(Tachytelic Inc.)
m-floのcome againをリアルタイムで聴いていた世代にはこの曲はかなり刺さるのではないだろうか。心地よいグルーヴに少し割れ気味に入るEDMのサウンド、そこにNEWSの歌声が重なって新しさを感じさせる。最近のJEがEDMも積極的に取り入れていることの象徴とも言えるような曲である。
Silent Love
作詞・作曲:ヒロイズム、編曲:芳賀政哉、Rap詞:Lotus Juice
加藤のAメロの歌い出し→Bメロ小山→サビ手越、合間に挟まれる増田の低音Rapと、歌割りが大サビ以外すべてソロパートで構成されているのが印象的なミディアムナンバー。
恋を知らない君へ
作詞:ヒロイズム、Hacchin’ Maya、作曲:ヒロイズム
編曲:ヒロイズム、中西亮輔
20thシングル。「Silent Love」からのラブソング繋がりの曲並びが美しい。スローテンポのバラードは凡庸になって飽きてしまいやすいが、この曲は歌が上手いというだけで聞き続けられる名曲である。落ちサビの増田→手越のジャニーズ随一の歌うまリレーは至高。
“NEVERLAND Cast Members”
脚本・作曲:髙橋拓
メンバー紹介。それぞれに役割が当てられているが、歌詞を見ないとなんのこっちゃわからないのでこちらを参照されたい。
“Neverland Cast Members” 歌詞【NEWS】 | 歌詞検索UtaTen(うたてん)
ミステリア
作詞:Hacchin’ Maya、作曲:TAKA3、編曲:佐々木博史
ストリングスとリズムパートの疾走感が心地よい。ここまで曲の頭から終わりまでストリングスを組み込んでいるアップテンポ曲もめずらしい。2番のBメロで謎にストリングス抑えられる以外は全編でずっと鳴っているのが少し過剰な印象である。
BLACK FIRE
作詞・作曲:JUON、編曲:JUON、岸田勇気
ハイテンポなロックナンバー。NEWSでこんなにやるのかというくらいゴリゴリのロック。このジャンルならKAT-TUNの専売特許じゃないの?というくらい叫ぶように歌い、ギターも雄叫びをあげるような激しく鳴る。
ORIHIME
作詞・作曲・編曲:ヒロイズム
The・ヒロイズム!The・NEWS!なポップチューン。「BLACK FIRE」との落差にやられそうなキラキラなポップス。NEWSが歌う王道のポップスはこれだ!という一曲。
流れ星
作詞・作曲:ヒロイズム、編曲:亀田誠治
ヒロイズム氏がNEWSと仕事をするきっかけになり、シングルカットを検討されながら10年以上温め続けられたというこの曲。12「ORIHIME」もそうだが、NEWSは星だとか宇宙だとか壮大なテーマを背負わせたくなるのだろうか。*2
“The Grand Final”
脚本:髙橋拓、作曲:池田充徳
あと1曲あるのにここで「ごきげんよう」と言わせて16で「またツアーで」と改めてトラックを割いているのは何の意味があるのか…。
U R not Alone
作詞・作曲:GReeeeN、編曲:Tsubasa Takada(Diosta inc.)、JIN
「weeeek」以来のGReeeeN提供曲。ユニゾンをオクターブ違いで歌い、2番で同じキーで歌わせるのがGReeeeNっぽさを感じさせる。上のパートはかなりキーが高いため、手越のハイトーンがいかんなく発揮されている。
“To Be Continued…”
脚本・作曲:髙橋拓
このアルバムの続きはツアーへ。このアルバムがコンサートツアーを行うことを前提として作られていることを色濃く印象づけている。
以下通常盤のみ収録
I’m coming(Vocal:手越祐也)
作詞:TAKA3、Hacchin’ Maya、作曲・編曲:TAKA3
えろい。それしか言えない。
ニャン太(Vocal:小山慶一郎)
作詞:小山慶一郎、作曲・編曲:ヒロイズム
ニャン太というのは小山が実家で飼っていた猫の名前である。死んでしまったニャン太へ向けたメッセージを、爽やかなポップチューンに乗せて歌っているのが一層胸を打つ。
あやめ(Vocal:加藤シゲアキ)
作詞・作曲:加藤シゲアキ、編曲:芳賀政哉、中西亮輔
小説が書けて作詞作曲もできるって最強が過ぎるのでは??サビをあえて下のキーで歌ってコーラスを重ねていたり、メロディと歌詞の親和性が取れていたりと、個人的にかなりハイスコアを叩き出した曲である。「NEVERLAND」という世界観にソロ曲を一番寄せて作ったのは彼ではないか。
FOREVER MINE(Vocal:増田貴久)
作詞・作曲・編曲:山下達郎
山下達郎の往年の名曲をカバー。譜面通りに歌うだけではなく、歌詞とメロディに感情を乗せて歌っているのをビシバシ感じさせる。コーラスも何も乗せずに、トラック増田自身の声一本で全編通しているところに、曲へのリスペクトと覚悟を伺い知った。
おわりに
NEWSはメンバー本人が、リリース前からラジオやJohnny’s web内のブログで楽曲について言及をしている。加藤シゲアキによるライナーノーツも公開されているので、そちらも合わせて参照してみてほしい。